先手中飛車対策鳥刺し(2) -鳥刺しって何?-

では鳥刺しの紹介に入りましょう。

鳥刺しとは振り飛車対策として古くからある戦法で、メジャーではありませんが現在も少数のスペシャリストたちによって指されています。

上図が先手四間飛車対後手鳥刺しの一例です。

鳥刺しの最大の特徴見ての通り34歩を突かずに31角と引き角にしているところ。
こうすることで先手の角の捌きを抑えつつ左銀に紐をつけて攻めやすくしています。
鳥刺し側はこの後75歩同歩64銀と出ていくのが一つの狙いとなります。

そして先手中飛車対鳥刺しの組みあがりの一例は下図のようになります。

ここで前記事の先手中飛車に急戦が難しい2つの理由を思い出してみてください。
一つ目が「角を捌かれやすい」でした。
これについては明快、居飛車が引き角にしているため振り飛車から角交換を挑めません。
したがって中飛車側は角を捌くのに苦労することになります。
二つ目は「5筋からの反撃が厳しい」です。
図を見てもわかるように(左銀はいなくとも)居飛車は53の地点に右銀と角の2枚が効いています。
さらに52金右と上がることで3枚の駒を効かせられるので、単純に53の地点を突破されることはまずありません。

つまり鳥刺しはその駒組からして2つの課題をクリアしているのです。
しかし、一つだけ注意点を述べると駒組に進展性がありません。
つまり、振り飛車側はここから銀冠に組んだり4筋を伸ばしたりとやりたい手が山ほどあるのに対し、居飛車側は囲いようがなく52金右と73桂を場合によっては入れるぐらいです。
すなわち、手をこまねているとすぐに作戦負けに陥ります(特に振り飛車が4筋を伸ばす手はかなり大きな手になります。)
したがって組みあがったら攻めるしかありません。
これはこの戦型における一貫した指針となります。

次回以降では具体的な局面と手順について解説していきます。

 

先手中飛車対策鳥刺し(1) -強敵先手中飛車-

記念すべき第一回のテーマは先手中飛車対策としての鳥刺し戦法を取り上げます。

そもそも先手中飛車というのはもっとも急戦が通りにくい振り飛車と考えていまして、その理由として大きく
(1)振り飛車が角道を止めていないので角を捌かれやすい
(2)振り飛車の5筋からの反撃が居飛車の玉に近く厳しい
の二点が挙げられます。

(1)について、例えば四間飛車相手に75銀と出られれば一般的に居飛車成功とされていますが、先手中飛車に対しては54歩一発で角・飛車を両方とも捌かれ75銀が取り残されたままになるということが多々あります。
もちろん居飛車側も工夫して仕掛けるのですが、振り飛車の最大の弱点である角頭が狙いにくいのは確かです。

(2)について、これは(1)とも関係してくるのですが中飛車は5筋から攻めてきます。
そして居飛車の玉は急戦の場合32にいます。
したがって5筋を突破されたらまず勝てません、「53のと金に負けなし」はよく当てにならない格言の代表格として取り上げられますが、この戦型にはほとんどそのまま当てはまります。

最近、角道不突き左美濃という戦法が流行っていますが、あれは角道を突かないことにより(1)を避け、さらに玉を31(場合によっては22)まで持っていくことで(2)を緩和しています。

なら角道不突き左美濃でいいじゃん?と思うかもしれませんが、あの戦法は展開によっては銀冠→穴熊と持久戦にする含みがあり、もちろん理にかなっているのですが根っからの急戦党には不本意な展開とも言えます。

鳥刺しは玉を32より深く囲うことはありません、というか囲えません。
したがって準備ができたら直ちに仕掛けます。
正真正銘の急戦です。

では鳥刺しとはどういう戦法なのか、それを次回の記事で取り上げます。

本ブログについて

皆さん初めまして。

この度ブログを始めましたにっし~です。
居飛車党で急戦の将棋を好んで指します。

このブログは相居飛車・対抗型におけるちょっとマイナーな形の急戦を研究して紹介していきます。

筆者の棋力が不十分なこともあり、的外れな意見を述べることもあるかもしれませんが、一つの考え方としてとらえれていただければ嬉しいです。

それでは以降よろしくお願いします。