では鳥刺しの紹介に入りましょう。
鳥刺しとは振り飛車対策として古くからある戦法で、メジャーではありませんが現在も少数のスペシャリストたちによって指されています。
上図が先手四間飛車対後手鳥刺しの一例です。
鳥刺しの最大の特徴見ての通り34歩を突かずに31角と引き角にしているところ。
こうすることで先手の角の捌きを抑えつつ左銀に紐をつけて攻めやすくしています。
鳥刺し側はこの後75歩同歩64銀と出ていくのが一つの狙いとなります。
そして先手中飛車対鳥刺しの組みあがりの一例は下図のようになります。
ここで前記事の先手中飛車に急戦が難しい2つの理由を思い出してみてください。
一つ目が「角を捌かれやすい」でした。
これについては明快、居飛車が引き角にしているため振り飛車から角交換を挑めません。
したがって中飛車側は角を捌くのに苦労することになります。
二つ目は「5筋からの反撃が厳しい」です。
図を見てもわかるように(左銀はいなくとも)居飛車は53の地点に右銀と角の2枚が効いています。
さらに52金右と上がることで3枚の駒を効かせられるので、単純に53の地点を突破されることはまずありません。
つまり鳥刺しはその駒組からして2つの課題をクリアしているのです。
しかし、一つだけ注意点を述べると駒組に進展性がありません。
つまり、振り飛車側はここから銀冠に組んだり4筋を伸ばしたりとやりたい手が山ほどあるのに対し、居飛車側は囲いようがなく52金右と73桂を場合によっては入れるぐらいです。
すなわち、手をこまねているとすぐに作戦負けに陥ります(特に振り飛車が4筋を伸ばす手はかなり大きな手になります。)
したがって組みあがったら攻めるしかありません。
これはこの戦型における一貫した指針となります。
次回以降では具体的な局面と手順について解説していきます。