先手中飛車対策鳥刺し(18) -銀対抗型 基本図から68角⑥-

第19図まで戻り先手が (b)55飛 とする変化を見ていきます。

第19図以下
▲55飛 △66銀 ▲同歩 △74飛 ▲77桂 (第31図)

77桂に代えて77歩では86歩同歩同角(下図)とされて先手不満です。

これでは (a)75同銀 の変化と比べて66歩型が得にならず、先手から動く手段も難しいです。

77歩に代えて77桂と跳ねるのが66歩型を活かした手で、76歩には調子良く65桂と跳ねる手があります。
第30図での76歩には85桂と跳ねるのが好手で先手良しです。

第31図より
△64角 ▲56飛 △31角 ▲55飛 (結果図)

64角に59飛は15歩同歩76歩(下図)が好手順で、以下65桂同桂同歩36桂で端の突き捨てが入っているのが大きく寄り筋です。

64角56飛に31角と引いた局面では次に76歩65桂同桂同歩77銀の攻めがありますがそれを防ぐ手段は難しいです。
仕方なく55飛と浮いて受けた結果図は第31図と同一局面になっています。

以上をもって第19図より (b)55飛 は後手が望めば千日手と結論付けます。

まとめると基本図より68角の変化は第19図(下図)まで進んで (a)75同銀 は後手良し (b)55飛 は後手が望めば千日手となります。

以上で銀対抗型の考察を終わります。

先手中飛車対策鳥刺し(17) -銀対抗型 基本図から68角⑤-

第28図以降の攻防を見ていきます。

第28図より
▲49銀 △58歩 (第29図)

49銀は唯一の受けですが58歩が焦点の歩。
同銀は48角成、同金は39銀、同飛は69銀があるので先手はこの歩を取れません。

第29図より
▲79飛 △59銀 ▲57歩 △77歩 ▲同桂 △68銀成 ▲同金(第30図)

79飛には59銀が厳しい追撃で、以下38金には57桂成77角48銀打(下図)と絡みついて後手優勢。

また59銀に同角も同歩成同飛に再度の58歩(下図)が決め手。

以下同飛の一手に48角成とばっさり切って、同銀は49角、同飛は57桂成でいずれも寄っています。

本譜57歩は最善の粘りですが、77歩がそつのない利かしで飛車の直通を避けています。
以下第30図まで進んで決め手があります。

第30図より
△57桂成 ▲同金右 △同角成 △同金 ▲68角 (結果図)

57の地点で清算して68角の両取りが分かりやすい決め手です。
75同飛からの流れるような攻めが決まり結果図は後手勝勢です。

第20図より〈1〉56飛 〈2〉59飛 のどちらも後手が良くなったので、第19図より (a)75同銀 は後手良しと結論付けます。

先手中飛車対策鳥刺し(16) -銀対抗型 基本図から68角④-

第20図より 〈2〉59飛 を見ていきます。
59飛は56飛に比べて飛車が下段で安定している反面58歩を常に狙われます。

第20図より
▲59飛 △74飛 ▲77歩 △58歩 (第25図)

前述した58歩を後手はいきなり敢行します。
同飛は69銀があるので同金の一手ですがこの金が49まで戻ってくるには2手掛かります。
後手はその間に手を作りに行きます。

第25図より
▲同金 △75角 ▲66銀 △84角 (第26図)

58同金に75角が小気味のいい覗きです。
先手は次の48銀79飛54飛を受けなければいけませんが、ぴったりした手がありません。
57歩では84角と引かれて一歩得でも陣形差がありすぎてとても釣り合いが取れないでしょう。
先手は仕方なく66銀と投資しますが、後手は84角とこのラインで角を使います。

第26図より
▲48金 △64歩 ▲76歩 △65桂(第27図)

48金は角のラインに入るので怖い手ですが、放っておいても64歩~65歩がある上に54飛と回る手もあるので仕方ないところでしょう。
ただし64歩に49金と引くのは、以下65歩57銀54飛(下図)となって後手十分です。
次に56歩があるので先手から56歩と打たなければいけないのが辛く、後手は52金右~63銀と自然に駒組を進めて、機を見て8筋を狙えばよくなりそうです。

本譜76歩は手筋で76同飛には77金74飛75歩(下図)で先手優勢です。

後手が困ったようですが65桂が強手。
75銀の飛角両取りがありますが後手はそれで指せるとみています。

第27図より
▲75銀 △同飛 ▲同歩 △同角 (第28図)


当然の75銀に同飛と叩き切って第28図に進みます。
後手の75角が金に当たっていますが、先手は味のいい受け方がありません。
49金は48銀、57歩は56歩でいずれも受けになっていません。

次回に続きます。

先手中飛車対策鳥刺し(15) -銀対抗型 基本図から68角③-

第23図以下の進行を見ていきます。

第23図より
▲79飛 △69銀 (第24図)

 

89飛に81飛と攻め合いを目指すのは、以下51歩91飛成65桂61龍77桂成同角36桂(下図)で先手玉が寄ってしまいます。

本譜79飛は手筋ですが69銀が鋭手です。
後手はこの手が無いと攻めになりません。
以下同飛は同飛成79金同龍同角78飛で後手優勢です。

第24図より
▲89飛 △78銀成 ▲35角 △89成銀 ▲81飛 △71歩 (結果図)

以下はほとんど必然手の応酬で結果図まで進みます。
89の成銀が遊んでいるのは気になりますが
①金得の実利 ②91飛成に65桂がある
の二点を考え後手優勢と判断してよいでしょう。

後手としてはこの後食いつかれないように丁寧に面倒を見ていく方針で行きましょう。

先手中飛車対策鳥刺し(14) -銀対抗型 基本図から68角②-

第19図より (a)75同銀 を見ていきます。

第19図より
▲同銀 △同角 ▲55飛 △64角 (第20図)

ここで〈1〉56飛 〈2〉59飛 に分岐します。

〈1〉56飛から見ていきます。

第20図より
▲56飛 △74飛 ▲77歩 △52金右 (第21図)

77歩に代えて77角は65桂でだめ、76歩は次に75銀を狙って考えてみたくなりますが、45銀が好手で以下26飛53角66飛44角(下図)と飛車を召し取って後手良しです。

さて、第21図で先手は動かしたい駒がほとんどありません。
このまま53銀~44銀と抑え込まれてはいけないので勝負に出ます。

第21図より
▲76飛 (第22図)

76飛が低い陣形を活かした好手です。
対して後手は75歩と受ける手もなくはないですが、56飛と戻られて84飛には76歩、53銀には55銀があり指し手が難しいです。

第22図より
▲同飛 △同歩 ▲77歩 △同桂 ▲89飛(第23図)

77歩に同角は以下65桂66角69飛79飛49飛成同銀57銀(下図)で後手良しです。

以下84角には77歩として、桂馬を持てば36桂の狙いがあるので先手潰れです。

次回に続きます。

先手中飛車対策鳥刺し(13) -銀対抗型 基本図から68角①-

基本図から68角という手を見ていきます。

68角は更に59飛、78金として自陣の隙を消した後に55歩と仕掛けていこうという手です。
代えて先に59飛や78金では75歩の仕掛けを与えてしまいます。

68角に75歩の仕掛けは以下75同歩同銀同銀同角46角73歩74歩(下図)として、55歩同歩同飛と78飛から飛車を捌く手を見せて先手ペースです。

基本図より
▲68角 △73桂 ▲59飛 △84飛 ▲78金 △75歩 (第18図)

予定通り陣形を整える先手に対して後手は一目散に攻めを狙ってきます。
75歩では52金右や51金右として待つ手も有力ですが、先手から55歩と仕掛ける手や77桂と力をためる手もあり難しい戦いになります。

第18図より
▲55歩 △同歩 ▲75歩 △同銀 (第19図)

75歩に対する55歩は一本は筋という手で損のない手です。
75同銀となった局面で (a)75同銀 (b)55飛 の2通りの応手が考えられるので順に見ていきましょう。

先手中飛車対策鳥刺し(12) -銀対抗型 基本図から78飛④-

第16図以降の変化を見ていきます。

第16図より
▲66銀 △22角 ▲78金 △64銀 ▲77桂 (第17図)

66銀は桂取りを狙った手ですが後手は予定通り22角で防ぎます。
78金も次に65銀と取る狙いですが手堅く64銀と受けます。
先手は桂得が難しくなったので77桂とぶつけて自陣の桂を捌きにいきます。

第17図より
△同桂成 ▲同角 △52金右 ▲89飛 △53銀上 (結果図)

以下お互いに自陣の整備をして結果図は全くの互角でこれからの将棋でしょう。

先手はこの後46歩~47銀とするか銀冠に組むのが有力そうです。
後手は44銀と上がって55歩や75歩の仕掛けを狙うのともう一つ24桂という面白い手があります。
次に16桂同香15歩という単純な狙いですが部分的に受けはありません。
タイミングを見計らえば強力な攻めとなりそうです。

以上をもって基本図から78飛は、先手が正確に対応すれば穏やかな展開に戻りいい勝負と結論付けます。

先手中飛車対策鳥刺し(11) ー銀対抗型 基本図から78飛③ー

第9図より (c)68角 の変化を見ていきます。
先手の最有力手と考えてよいでしょう。

第9図より
▲68角 △65銀 ▲同銀 △同桂 ▲88飛  (第15図)

この辺りは細かい変化が散りばめられています。
まず、65銀には57銀と引いてみたくなりますが以下86歩同歩同角88飛85歩(下図)で76銀と出る手が残り後手有利です。

また本譜88飛に代えて46角もありそうですが、64角(下図)がぴったりで先手は指し手に困ります。

すなわち、以下64同角同歩は57桂不成と86歩が同時には受かりませんし、単に88飛も46角同歩57桂不成が決まります。

なお88飛に代えて58金左は第9図より (b)58金左 とした変化に合流します。

本譜88飛は86歩同歩87銀の筋を受けて次に66歩を狙った手ですが、ここで後手に面白い手があります。

第15図より
△34歩 (第16図)

この34歩は知っていないとなかなか指せないと思います。
狙いは単純で66歩に22角を用意しています。

以下の展開は次回見ていきます。

先手中飛車対策鳥刺し(10) -銀対抗型 基本図から78飛②-

第9図より (b)58金左 の変化を見ていきます。

58金左は離れ駒を無くしつつ57の地点を受けていますが、69銀の割り打ちが生じています。
後手はそこを狙って動いていきます。

第9図より
▲58金左 △65銀 ▲同銀 △同桂 ▲68角 (第12図)

本譜68角に代えて59角は後手有利になるので後述します。

また65同銀のところ68角では以下66銀同歩69銀(下図)の割り打ちが実現して後手十分です。

第12図から同じように69銀とすると、以下88飛58銀成同金(下図)となって今度は66歩からの桂取りが残っている後手が忙しいです。

先手の狙いは後手に桂を跳ねさせて負担にさせるというものでした。

第12図より
△86歩 ▲同歩 △87銀 ▲79飛 △86角 (第13図)


86歩同歩87銀の攻めは以前も出てきましたが今度は飛車が捕まるわけではありません。
(先手が68角に代えて59角と引いていると、87銀79飛88銀成69飛78成銀で飛車が捕まるので後手優勢です。)

後手の攻めは重いようですが、飛車先さえ突破してしまえれば先手の飛車が働いていない分指せるという判断です。

第13図より
▲同角  △同飛 ▲68角 △83飛 ▲66歩 (第14図)

86同角に代えて46角は64角とぶつけられて、以下同角同歩となった局面は後手の飛車が82で安定している分後手の得です。

68角は苦しい受けですが単に66歩では78銀成同飛89飛成(下図)で後手優勢です。

以下68飛には77桂成で取れそうだった桂馬で飛車を取られてしまいます。

第14図より
△88角 ▲65歩 △79角成 ▲同角 △78銀不成 ▲46角 △89飛成 ▲91角成 △99龍 ▲46馬 △89飛 (結果図)

88角では88銀59飛89銀不成と進めるのも有力です。
本譜は二枚飛車の攻めを目指しました。
結果図はお互い目一杯捌き合って駒の損得はありませんが、二枚飛車で攻めている後手の方が勝ちやすいと判断します。
後手としてはこの後35桂には31桂、26香には22香といった具合で自玉の安全度を保ちながら指すのが大切です。

先手中飛車対策鳥刺し(9) -銀対抗型 基本図から78飛①-

今回から基本図より78飛の変化を見ていきます。

78飛は75歩の仕掛けを直接受けたもので、それでも75歩には75同歩同銀同銀同角33角成で先手優勢です。

後手は仕掛けがなくなると作戦負けに陥りますので、攻め駒を足していきます。

基本図より
▲78飛 △73桂 (第9図)

75歩からの仕掛けがなくなったので今度は73桂と跳ねて65銀の仕掛けを狙います。
ここから (a)46歩 (b)58金左 (c)68角 を順に見て行きます 。
後手は全て65銀と仕掛けていきます。

第9図より
▲46歩 △65銀 ▲同銀 △同桂 ▲68角 (第10図)

65銀に対して56歩と76歩のどちらも取られるわけにはいかないので先手は65同銀の一手です。
以下第10図まで進んで次に88飛とできれば先手陣も安定するのですが、ここで後手から厳しい攻めがあります。

第10図より
△86歩 ▲同歩 △87銀 (第11図)

この87銀で先手の飛車が捕まっています。
間違いなく後手優勢ですが、わかりやすくするためもう少し進めてみます。

第11図より
▲79飛 △88銀成 ▲66歩 △79成銀 ▲同金 △86角 ▲同角 △同飛 ▲65歩 △57角 (結果図)

最終手57角が決め手で、以下68銀には同角成同金89飛成で次に飛車を下す手が厳しすぎます。

第9図より (a)46歩 は駒組を進めて自然ですが、後手からの攻めを甘く見ていた危険な手でした。

次回 (b)58金左 の変化を見ていきます